マクロビオティックが数年前に流行った時に、料理教室に通った。
せっかく習うならちゃんとしたところに行きたいと思い、最も本格派と思われるところに申し込んだ。
なんせ調理法が1つ1つすごく手間がかかり修行のようなので、生徒さんは何か病気をしていて藁にもすがる思いの人が多い。
雑誌で見るモデルさんも来ていた。
本気の人でないと続けられない厳しさだ。
ときどきトンデモ宗教のような話が大真面目にでてくるので、私はドン引きして話半分に流していた。
たとえばゴマをすり鉢で擦る時は、右回しと左回しでエネルギーが違うので効果が違ってくるとか。
おむすびは天と地のエネルギーを結ぶからおむすびと言うとか。
ある時、先生が「この中で家で電子レンジを使っている人いる?」と挙手を求めてきた。
私とその他一部のごく少ない人が手を挙げた。
先生は「あ〜、あれは中で核爆発してるようなものだからね。使わないほうがいいよ。」と。
手を挙げてしまって恥ずかしい気分になった。
また別の時、先生が「この中でセロリが好きな人いる?」と挙手を求めてきた。
私とまたごく少ない一部の人が手を挙げたところ
先生は「まぁ!この方たちはずいぶんお肉が体に入っているのね。」と。
どうやら肉食だと体がセロリを求めるらしい。
またもやダメ生徒と言われたように感じ、手を挙げてしまって恥ずかしかった。
そしてある時、先生が「先週習った大根の切り方ができる人!」と挙手を求めてきた。
そんなに難しい切り方ではない。
私は気軽に手を挙げた。
すると・・・、手を挙げたのはなんと自分だけだった。
30人以上生徒がいるのに。
「まずい!」と思ったが遅かった。
先生に「では前でやってください」と言われ、全員に見られて冷や汗をかきながら前で切り始めた。
8割できたが最期の細かいところが分からなくなり、完全にはできなかった。
自分ができないところが分かったのはよかったが、先生に「違いますね」と言われて見せしめみたいになり「もうこの教室では絶対手を挙げない」と心に誓った。
その教室で学んだことは、無難が一番ということ。
周りの人を見てから手を挙げるかどうか決めないとひどい目にあう。
でも、このやり方だと生徒はだんだん手を挙げなくなる。
全く別の機会に英語のプレゼン方法を学んだ時。
ときどき聞いてる人に質問をして、話への参加を促す。
模擬プレゼンで「〜ってどういうことかご存知ですか」と聴衆に問いかけて、誰かが答えたとき「う〜ん、ちょっと違います」と私が言うと、プレゼンの先生からダメ出しされた。
ダメ出しの理由は「せっかく答えてくれたのに否定すると、参加する気がなくなるから」とのこと。
どんな答えであっても「そういう考えもありますね。ありがとう」と前向きに返すのだ。
そうすることで、次からも積極的に発言しようと思ってもらえる。
料理教室とプレゼンとでは目的が違うかもしれない。
でも自分が何か教える立場になったら、手を挙げた人に挙げてよかったと思われるようにしたい。